「一読入魂」・・・旅路(藤原てい)
作者の藤原ていさんは新田次郎の奥さんであるとは、この本を読むまで知りませんでした。
気象庁に勤務していた夫の満州赴任に同行し、終戦後地獄の逃避行をして日本に辿り着いた記録が記されています。
私の父(平成23年に95歳で死去)も中国戦線に従軍し、終戦時満州でソ連軍に捕虜として拘束され、シベリアで2年あまり強制重労働に従事しました。
昭和22年に帰国し、私と弟が生まれました。姉は4歳でしたが、初めて見る父を怖がったそうです。
現地で沢山の戦友が父の側で死んだそうですが、死ぬ間際に助けてくれたら何でもやると手を握り必死で訴えた戦友もいたそうです。それが父でしたら私も生まれていないわけで、今、何食わぬ顔をして生活していますが、父が生きて日本に帰ってきてくれたお蔭です。この世に生を受けたことに感謝しています。