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「一読入魂」・・・昭和の妖怪   岸 信介(岩見隆夫)

テレビでの穏やかな表現の政治評論をいつも見ているが、この著書の内容は確たる証拠による断定ではないが、かなり説得力のある調査事実に基づいているとの感想を持った。

表題の人物は、言わずと知れた阿部総理大臣の母方の祖父である。満州国に関わった時代の記述にはやや背筋が寒くなる思いがするのは、私のみではないと思った。著者の調査・取材活動時に殆どの関係者が証言を避けたことからも推察される。

あまりにも頭脳明晰で、諸氏の追随を許さない実行力と深謀遠慮のなせる業であろうか、「先物買い」の記述の箇所では、「まさか・・・そのようなことは・・・、しかし・・・」と言葉にならない。

「その時代が創造した妖怪」なのか「歴史の推移を捻じ曲げた妖怪」なのか。

2013/03/04一読入魂所長ブログ新着情報

「一読入魂」。。。シャネル(藤本ひとみ)

シャネルの装飾品や服飾等には全く興味は有りませんが、「一代」でのし上がるパワーに対しては強い関心が有ります。

先ず「ココ・シャネル」のネーミングに関心がありました。作者の藤本ひとみさんの記述では、本名は「ガブリエル・シャネル」であり「ココ」という愛称は一時カフェ歌手をしていた時に好評だった歌[トロカデロでココを見たのは誰]から客たちが付けたものと有ります。

ネットの「ウィキペディア」でも同じ由来が記されています。

しかし、「ココ・シャネルの秘密」(マルセル・へードリッヒ:山中啓子訳)によれば、相違しています。

以下、本文をそのまま記します。

ー「父はわたしがギャビィ(ガブリエルを簡単にした愛称)と呼ばれるのを死ぬほど恐がっていたわ。父は、ほかにいい名前が見つかるまで、わたしのことを『小さなココ』と呼んでいた。自分がつけた名前でないガブリエルがいやでたまらなかったのよ。

それももっともだったわ。そのうちに『小さな』というのがなくなって、ただのココと呼ばれるようになった。これはグロテスクだった。わたしはなんとかしてこの名前から逃れたいと思っていた。けれどそれはどうしてもできなかった」

ーこれが、どうやってガブリエルからココになったかということの、マドモアゼル・シャネル自身の口による公式の説明である。

この文章自体が意味不明でありませんか?

「ココ・シャネル」の響きは日本人にとってはシャネル製品のイメージと結びつき魅惑的であろうと思うのですが・・・?

 

2013/03/04一読入魂所長ブログ

「一読入魂」・・・フレンチの侍(市川知志)

一読して「侍」というより「荒武者」との印象を受けた。著者のあとがき「普通、料理人が世に出す本は料理写真とレシピなどが書かれたものだ。しかし僕は何か違った形のもの、どのページをめくってもレストランの香りがするような本を作ってみたいとつねづね思っていた。」(原文のまま)にあるように料理、ましてやフレンチにはズブの素人である私にとっても著者の迫力が全ページに亘り溢れる書であり、フレンチに強烈な興味を抱かせるに至った。

私は税理士としての仕事上、飲食店経営者に接する機会が多いが、このような舞台裏がある世界であることは全く知らなかった。

文中の著者の言葉をそのまま紹介します。

「割烹や料亭でも同じプロセスを踏むのだろうが、いかんせんフレンチは客のパイが絶対的に少ない。フレンチらしいトレンドを崩さずオードブルからデザートまできわめ、きちっと集客し、お客様に喜んでいただく。これは想像以上に難しい。フレンチをやっている限り、生き延びていること自体が奇跡と思うことがある。これで儲けようと思うのは間違いだ。」

「あえて言うとフレンチの過ちは、暗黙のうちに[差別こそテクニック]にしてしまったことだと思う。すべての店がそうではないが、グルメ風なお金持ちの客ほど手厚くサービスし、そうでなさそうな客には冷淡なサービスをする。レストランの空気の中に、その落差を感じたことのある人は、あんがい多いのではないだろうか。」

まだまだ著者の現実を直視し、深い洞察眼を通した珠玉の直言がたくさん有ります。

著者のお店に行きたいが、同伴者が居ない。

2013/03/02一読入魂所長ブログ

一読入魂

書名:「ユートピアの崩壊」

ナウル共和国  世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで  リュック・フォリエ著

豊富なリン鉱石資源の輸出により実現した税金なし・社会保障完備の「地上楽園」が短期間で破たんした経緯について記されている。太古の昔からナウルは北半球と南半球を季節ごとに行き交う渡り鳥のすみかであったらしい。

鳥の糞によってリン鉱石が出来上がったと考えられている。時間の経過とともに、ナウルの地下に膨大なリン鉱石が蓄積されたらしい。このリン鉱石を無計画に掘り尽くし、放漫な資金管理・国家運営によりすべてが破たんした軌跡が記述されている。

人の人生の軌跡と二重写しになるところがある。

過去の成功体験・遺産相続・放漫経営・尊大不遜な思考・酒色に溺れた生活等々油断の先にある悲劇だが必然の理に思われる。

しかし毎日予測せぬ事柄が引き起こされるが、すべて雑事として、粛々と対応するしかないようである。

今日も早く寝て早朝朝日を浴びよう。情けないがこれの繰り返しである。おやすみなさい。

2013/02/22一読入魂所長ブログ

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