「一読入魂」・・・老いのつぶやき 黒井千次
この作者の著書を読んだのは、これが初めてです。
40数編の随筆の中の「年齢への凝視」の内容につぃての新聞の書評を見て購入しました。著者がある先輩作家に言われた言葉の記述を紹介します。
ーーー五十代と六十代にしっかり仕事をしておかないと、七十代から先はだめになるよ。もしそれが出来ていれば、七十代、八十代になっても仕事は続けられると思うけどね。(中略)二十代、三十代は、まだ夢を追ってひたすらに走ることが許される。四十代に届くと、先のことが少し気になり始めるかもしれない。そして五十代に到達し、与えられた生命の半分以上を費やしてしまったことに気がつぃて、ようやく先の方を窺う気分が生まれてくる。(中略)その意味で、五十代とは、過去と未来とのバランスの上に立つ貴重な季節であると思われる。先輩作家の言葉は、両者のバランスをしっかりと踏みしめて一歩一歩確実に坂を下っていくならば、七十代や八十代にもまだ稔りを期待することは可能だ、との教えを示したものであったろう。そしてこの考え方は、仕事の内容や男女の別に関係なく、人間全般に適用されよう。(後略)
途中略ばかりで、作者の真意を伝えにくいので、一度読んでみてください。
「人生八十年時代」に生涯現役を貫こうとする意欲が湧いてきます。