「姫路城の大規模修理保存工事」
表題に関して記した本が2冊私の書架にあります。
一冊目は、「国宝 姫路城」・・・朝日新聞社編 昭和36年6月発刊 で、二冊目は「姫路城を鉄骨でつつむ。」・・文藝春秋社編 平成27年3月発刊 です。
前掲の書は、私が19歳の春(昭和42年3月)に初めての一人旅の途上、姫路城に立ち寄り、城内の売店にて購入したものです。
後の一冊は、弊事務所のクライアントノの役員である 「阿久根 佐和子」女史の編集によるものです。
私は、10歳のころより「日本の城」に関心が強く、全国津々浦々の城下町・城跡を巡ってきました。特に姫路城は恋の紅蓮の炎を燃やし続けてきた「貴婦人」です。
その貴婦人に鋭利なメスを入れるかのような大修理保存工事は、心情的に耐えがたいものがありました。
平成の大修理では、鉄骨で包まれた大天守閣を特設の近接エレベーターで見学が出来たとのことですが、貴婦人の柔らかな唇に近づくような大胆不敵な行為は私には、出来ませんでした。
純白のウエディングドレスを纏った貴婦人然とした大天守閣には遠方より仰ぎ見ることすらしておりません。孤高の独身を貫くかのような大天守閣の気高い姿に密かに想いを寄せているのみです。
阿久根佐和子女史の著作では、工事に携わった職人の感動体験や心意気などが、読者に十分に伝わってきます。一見気難しく見える職人の方々が幼児の如く素直な感想を述べています。
まさに貴婦人を支える騎士のように映ります。この2冊の本により、昭和と平成の大修理の対比に大変興味が湧いてきます。
2015/12/09/私の趣味