「信託受益権の複層化型信託」
受益権の複層化とは、受益権を元本受益権と収益受益権に分けることです。
不動産の場合、不動産そのもの(元本受益権)と家賃収入(収益受益権)に置き換えることが出来ます。
複層化における受益権の評価(財産評価基本通達202)では、以下のように規定されています。
収益受託者が取得する収益受益権の評価額・・・課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき
利益の価額ごとに課税時期からそれぞれの受益の時期までの
期間に応ずる基準年利率による複利原価率を乗じて計算した
金額の合計額
元本受益者が取得する元本受益権の評価額・・・財産評価基本通達に定めるところにより評価した課税時期に
おける信託財産の価額から、収益受益権の評価額を控除した
価額
従って、受益権が複層化された信託の信託財産が、高収益資産の場合には、元本受益権の評価は低くなります。つまり、評価の低い元本受益権を信託設定時に、相続人予定者に生前贈与しておけば、相続税対策になるという考え方もありますが、受益権が複層化された信託が、信託財産の全部の評価とされるとする説もあります。