「英語化は愚民化」・・・(施 光恒 著)が売れているらしい
表題の新書の副題が「日本の国力が地に落ちる」です。
宗教改革で有名なマルチン・ルターは、世界史の教科書の記述では、・・・聖書ドイツ語に翻訳し・・・とあったのはおぼろげ乍ら記憶にありましたが、この著書ではラテン語やギリシャ語で書かれていた聖書を普段の会話語であるドイツ語に翻訳したことが、キリスト教の布教に画期的な影響を与えたとあります。
確かに、一般庶民は、ラテン語などは皆目意味不明であったでしょう。このことが表題に繋がると著者は力説しています。日本人にノーベル賞の受賞者が続出しているのも外国語ではなく、日本語で学び思考したからであると断言しております。
明治維新より諸外国から日本に入ってきた学問や様々な知識等は当時の有識者により即座に日本語に転換されてきたことにより、日本語で輸入学問を探求したことが現在の日本の諸状況の大きな要因となったとしています。
現在、著名な経営者が社内の公用語としての英語の採用を公表したり、早期の英語教育を唱えるグループが出現しています。アジア諸国の内ある国では、母国語に英語訳が付されていないために、数学や理科等の授業は英語で行わざるを得ないのであって、英語化を促進している訳ではないのが現実らしいのです。
即時通訳に近いソフトやアプリが実用化されてきていますが、相対で生の会話をしたいという欲求は依然としてあります。しかし、母国語の理解を不完全にしたままでの英語化や英語教育は本末転倒かも知れませんね。