遺言書を隠していたらどうなる?
民法第891条で、「次に掲げるものは、相続人となることが出来ない」とあります。
すなわち、その5号に「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」と記されています。
この場合の隠匿行為とは・・・遺言書の発見を妨げる状態を作りだす全ての行為を含み、そのような状態を作り出した際に完成するとのことで
仮にその後遺言書の存在や内容を他の人が明らかににした場合はもちろん、隠匿者本人が隠匿を解除した 場合も、そのことにより相続権が回復することはないとのことです。
密かに破棄してしまった場合には、この行為が闇に葬られることになるため、公正証書遺言が薦められる所以 でしょう。
日本の社会は、欧米社会とは異なり遺言書の作成を至極当たり前のモノとしてはいないことから、公正証書遺 言ではなく、自筆遺言証書が今までは、多かったようです。
相続人の欠格効果が発生するには、遺言書を偽造・変造しようとする故意のほかに、それによって行為者が事故に相続上有利な結果を生じせしめようとする故意をも必要とする説とこれを必要としないとする説とがあるそうです。
遺言書を隠匿した推定相続人の欠格をみとめたものが少ないのは、家庭裁判所の調停・審判事件で、隠された遺言書が手続きの進行中に提出されるケースがそれなりにあると予想されるが、以上に述べた「二重の故意」が必要とされても、その立証が困難であるため、遺言書の隠匿が不問に付されているケースが少なからずありそうだと、推定する方々がおられるようです。
最近、遺言書の重要性が喧伝され、それと同時に公正証書遺言の作成が多くなってきたのは、自然な流れでしょう。
2014/07/16/新着情報